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建設残土・建設発生土とは?
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基礎地盤の採掘や地山の採掘・切土によって建設現場から発生した土(発生土)は、廃棄物が混じっていない「建設発生土」と、廃棄物が混じっている「廃棄物混じり土」に大別されます。
建設発生土は資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)において、「指定副産物」に定められており、資源有効利用促進法に基づき、再生資源としての利用が促進されています。
また、国土交通省が策定している建設リサイクル推進計画では、建設発生土の発生抑制や適正処理の推進に関する目標が定められています。建設発生土の不適切な処理による被害を防ぐためにも、工事の発注者や元請業者は、法律にしたがって適切に残土処理をしなければなりません。
なお、廃棄物混じり土を分別し、廃棄物を分別したものは建設発生土として取り扱い、残った廃棄物は廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物として処理されます。
建築発生土は埋め立てや盛土の材料として活用できる再生資源であり、産業廃棄物には含まれません。しかし、建設残土分別後に発生した廃棄物を含む土は更に分別し、残土は再利用、産業廃棄物は産業廃棄物として処理されます。
産業廃棄物は廃棄物処理法に基づき、排出者の責任で適正に処理されなければなりません。処理を産業廃棄物処理業者などに委託する場合は、産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を得ている業者に委託しましょう。
また、建設発生土同様に建設副産物に含まれるものには、再処理して利用できるコンクリート塊やアスファルト塊、建設発生木材などがあります。建設副産物のなかでも再利用できない有害・危険なものは、産業廃棄物として処理しなければならないため注意しましょう。
建設発生土は、コーン指数によって第1種建設発生土、第2種建設発生土、第3種建設発生土、第4種建設発生土、泥土 (建設汚泥)の5種に分類されます。コーン指数とは、強度特性を表す指標の一種であり、コーンぺネトロメーターという試験機器を用いて算出される指標です。
分類 | コーン指数(kN/m2) | 特徴 | 利用用途 |
---|---|---|---|
第1種建設発生土 | – | おもに砂や礫を指し、コーン指数は定められていない | 土木構造物の裏込め 道路用地の盛土 土地造成 河川堤防 工作物の埋め戻し など |
第2種建設発生土 | 800以上 | 砂や礫を多く含む砂質土や礫質土などが該当する | 土地造成 道路用地の盛土 埋め戻し など |
第3種建設発生土 | 400以上 | 通常の施行性が確保される粘性土やこれに準ずるものが該当 | 土地造成 河川堤防の建設 道路用の盛土 工作物の埋め戻し など ※用途によっては土質の改良が必須 |
第4種建設発生土 | 200以上 | 粘性土およびこれに準ずるものが該当 | 土地造成 河川堤防の建設 道路用の盛土 工作物の埋め戻し など ※用途によっては土質の改良が必須 |
泥土 (建設汚泥) | 200未満 | 泥状の土 | 水面の埋め立て ※土質の改良が必須 |
「建設工事に係る掘削工事から生じる泥状の掘削物および泥水のうち、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として取り扱われるもの」を建設汚泥と呼びます(参照:国土交通省「建設副産物の定義」)。『建設発生土』は廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しませんが、『建設汚泥』は産業廃棄物のうち無機性の汚泥として取り扱われる点に注意が必要です。
廃棄物処理法における汚泥には、コーン指数がおおむね 200kN/㎡以下または一軸圧縮強さがおおむね 50kN/㎡以下のものが該当します。これは、含水率が高く、掘削物を標準ダンプトラックに山積みできず、またはその上を人が歩けないような状態を指します。また、運搬中の繰り返しにより泥状を呈するものも汚泥として取り扱われます。
土砂か汚泥か否かの判断は、掘削工事に伴って排出される時点で行ないます。なお、水を利用して掘削する工法(汚泥シールド・リバースサーキュレーション工法等)では、発生した掘削物を土砂と水に分離する工程までを掘削工事ととらえるため、土砂と水に分類した時点を発生時点として、汚泥か否かを判断する点に注意してください。
建設発生土は発生量を抑制したうえで、可能な限り再利用することが求められています。
建設発生土の処分方法の考え方と、処分における注意事項についてみていきましょう。
建設発生土は再生可能資源であることから、資源有効利用促進法に基づき、特に再利用が必要な建設副産物とされています。発生量の抑制を前提としたうえで、現場内での再利用を推進し、やむを得ず現場内再利用が困難な場合は、現場外での再利用が推奨されます。
現場外での再利用について、基本方針を定めている都道府県もあります。都道府県が方針を示している場合は、その方針に従って処分を行ないましょう。処分の基本方針の例として、広島県の事例を紹介します。
建設発生土の処分について
建設発生土の発生抑制・現場内利用等に努め、現場内利用が困難な場合は次の①~③の順序で処分を行なう。
大量の建設発生土が予想される工事で、①および②の処分によりがたい場合、県が新たな埋め立て地や建設発生土処分場の建設などを検討します。(島しょ部や山間部で建設発生土の搬出が困難な場合も別途検討)
建築副産物の再生利用の促進・不適正処理防止のため、元請業者は一定規模以上の工事を施工する場合、再生資源利用促進計画および再生資源利用計画を作成しなければなりません。
一定規模以上の工事とは、以下の基準を満たすものを指します。
計画書を作成後、元請業者は発注者へ計画書を提出し、内容を説明しなければなりません。また、同計画書は工事現場の見えやすい場所へ掲示するとともに、運送事業者へ作成した計画書を通知する必要があります。
建設工事完成後は計画の状況を把握・記録し、受領書の写しとともに5年間保存しましょう。
令和6年6月以降は、建設発生土の最終搬出先の記録の作成・保存も元請業者へ義務付けられます。ただし、次の 1~4 へ搬出された場合は、最終搬出先の確認は不要です。
令和3年7月、静岡県熱海市で大雨によって盛土が崩落し土石流が発生し、結果的に死者・行方不明者27名、家屋被害128棟という甚大な人的・物的被害が発生しました。
この事件を受け、国土交通省では危険な盛土等の発生を防止する仕組みを構築し、建設現場から発生する土の搬出先の明確化等を要請しました。これに伴い、各契約の特記仕様書において、建設発生土の搬出先の指定を行なうことが標準化されました。
令和6年6月からは、建設発生土の最終搬出先の記録の作成・保存が、元請け業者に義務付けられてます。建設発生土の不適切処理を防ぐためにも、適切に契約を交わし、最終処分されるまで責任をもって処分状況を確認しましょう。
建設発生土の不適切な処理を原因として、過去には甚大な事故が発生した例もあります。建設発生土による事故を防ぐためにも、法律や関係省庁等からの要請を遵守し適切に処分しましょう。
建設発生土の分別時に発生した廃棄物は、産業廃棄物として処理しなければなりません。産業廃棄物の運搬・処理の許可を得た業者に処分を委託し、建設発生土同様に適切に処分できるよう努めましょう。